家族でいく現代の阿房列車 Stories of "Aho" Railfan from Tokyo
鉄道は、たくさんの人たちをつないでくれる「道」だと思います。 This is a blog about railways in Japan and around the world by an enthusiast.
上州阿房列車(その5:こんにゃくパークなど)
妙義神社を出てから、昨日、上信電鉄で通りかかって気になった一之宮貫前神社に向かいます。一宮は各国(県)で一番格の高い神社のはずですから、どこも由緒があり訪れて損はないと思います。
到着すると、地形上、門から下に降りて本殿に着くという珍しい造りです。長男は、鎌倉の鶴岡八幡宮に建物の雰囲気が似ているねと言います。私はドライバーに、一之宮貫前神社と妙義神社とどちらが格が上なのですかと聞いてみましたが、分からないとのことでした。ただ、この神社は初詣の時には大変賑わうとのことでした。

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最後はこんにゃくパークという、工場見学や体験とこんにゃく関連商品のショッピングができる施設に行きます。入場無料で、さらに様々なこんにゃく料理のバイキング(試食)までできるというお得な場所で、主に地元の人たちで大変賑わっていました。あいにく工場見学や体験は休みだったり予約制でできませんでしたが、バイキングではこんにゃくラーメンなど珍しいものも味わえるなど、楽しめました。

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なお、磯部温泉からのタクシーとはここでお別れです。運転手さんに、雑談の中で案内もしてもらえますし、運転も上手ですから決して高くはないと思いました。クレジットカードでの支払いに慣れず、レシートが機械から数枚も出てきて手間取っていたのが、地方のタクシーらしかったです。こんなタクシーの乗り方をする人も珍しいのでしょう。いわば「阿房タクシー」かもしれませんが、悪くないやり方だと思いました。

雑談の中で聞いたのは、この磯部や富岡あたりはコミュニティーバスがつながっているようでした。コミュニティーバスは全国各地で自治体などが実施しており、主にマイカーを使えない地元のお年寄りが買い物や通院に行くためのもので、本数は少なく路線網も地元民でないと分かりにくいですが、これをうまく調べて使い、安くあげることもできたかと思いました。

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上信電鉄の上州福島駅に行き、帰路の高崎行の電車を待ちます。駅舎内には、日本の鉄道(JRと私鉄)全駅に訪問したトラベルライターの横見浩彦さんのサインが飾られていました。それを眺めていると、おばさんの駅員さんが話しかけてくれました。

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「電車が好きなのですか」「はい、昨日も用もないのに下仁田まで、往復してきました」
駅員さんは、下仁田には意外においしい食べ物屋があり、都会からの移住者もいること、また横見さんがこの上州福島駅で全駅訪問を達成したときにはメディアの取材もあったことなどを教えてくれました。

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高崎に着いてから、家族を労うためにホテルのランチビュッフェでゆっくりしてから、品川まで直通する普通列車グリーン車で帰宅します。新幹線よりは遅いですが、それほど混まない車内でずっとのんびり座って行けて、値段も週末料金は800円と安いので、妻からも幸い、評価を得ることができました。子供たちはいつものようにスマホやタブレットのゲームにずっと夢中でした。

高崎線、東北本線の景色には特に変わったことは感じませんが、にわかに雑居ビルなどが増えてざわついてくると上野です。あまり人で混みあわない群馬あたりの感覚に慣れていたので、急にたくさんの人が乗り降りするのを見ると、自分も地方から上京してきたような気分になります。
かしこまったビル街になると東京で、またたくさん人が乗ってきます。このあたり、人に揉まれて乗り換えせずに通過できる上野東京ラインは、便利です。妻は日常生活のスイッチに頭が切り替わったのか、子供たちに明日からの学校の宿題の指示などを出し始めました。

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上州阿房列車(その4:タクシー漫遊・妙義神社)
磯部温泉で一泊して昨日の阿房列車の疲れを癒した翌日は、タクシーを一家で借り切り、群馬県のこの付近を回ろうと思います。タクシーというと贅沢な気がしますが、マイカーの高速道路代、ガソリン代、その他の車両メンテナンス費などを考えれば、決して高い額ではないと思います。タクシー1台に家族4人で乗ることを考えればなおさらです。

群馬県は確か、日本で一番世帯あたりマイカー保有台数が多い県で、1人1台が当たり前で、車がないと移動がままならないような土地柄です。ここは、旅先で事あるごとに車を手配していた先代の内田百閒先生や宮脇俊三先生の例に倣い、私はそれほどの富裕層ではありませんが、思い切って行こうと思います。

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信越本線の車窓から見える独特のごつごつした山容の妙義山が気になっており、行きたいと思っていました。まず、妙義神社に行きます。タクシーに乗ると、快晴で、稜線がどんどん近づいてきます。ドライバーは気を利かせてくれ、特産のコンニャクやネギ畑の広がる景色のよい裏道をショートカットしてくれました。

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「いつか、妙義山にハイキングで登ってみたいと思っています」「でも歩くと鎖場などあるらしく、上級コースで大変そうですね」「車でも、上の方の中之嶽神社まで行けますよ、そうすると妙義山の景色ももっとよく見えます」「どれくらい追加になりますか」「プラス3000円くらいですかね、標高700mくらいまで行きます」

ドライバーは会話の中で、私の山好きの嗜好を察知したのでしょう。私は、これも追加してみることにしました。後で息子らに、運転手さんにうまく売り込まれてしまったねと言われたのですが。

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中之嶽神社へはヘアピンカーブを繰り返して上る険路です。しかしさすがプロで、次男が車酔いにならないよう、30~40km/hでゆっくりと着実に進んでくれて大変ありがたいです。中之嶽神社に到着。大きな大黒様の像が迎えてくれ、大変縁起が良いそうです。

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同じ道を下って、妙義神社に行きます。長い歴史を感じさせる石段が特徴的です。山間に設けられているという地形上、石段が長く、しかも急なので上り下りも大変でしたが、来た甲斐があったと思いました。

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上州阿房列車(その3:上信電鉄折り返し)

さて、高崎からは、「阿房列車」の極致と言えるかもしれない上信電鉄の小さな旅、終点の下仁田まで1時間3分をかけて乗っていき、そこで何もせず9分間滞在して単に同じ線を折り返してくるというものです。


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高崎駅の外れから発車する上信電鉄、JRの中古電車が使われ、車内には地元のお店の広告がたくさん貼られています。1357分に高崎駅を発車、走りはゆっくりで、カーブも多くてよく揺れます。読書を続けている妻に「JRとは雰囲気が変わったでしょう」と切り出してみましたが、反応は薄くてそっけないです。それでも妻子に話題を振って、なんとか上信電鉄に関心を持ってもらえるようにします。車内もJRより空いているので、ゆっくり話をすることができます。


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幸い中小私鉄は、駅名も景色も地域に密着しておもしろいので、それなりに話題を続けることはできます。まず、小さい次男に話しかけます。「あの立派な橋は、上越新幹線の高架橋だよ」「そうか、あれに乗れば1時間くらいで東京から来られたんだね。」2駅目に佐野のわたしがあります。「渡しというのは、昔は橋が架けられなくて、船で川を渡っていた場所のことだよ」「そうなんだ、これは何川?」「わからないけど、利根川の支流かな」(後で調べたら、烏川と言いました)4駅目は高崎商科大学、教育好きな妻に注意を喚起すると、「結構、この地方ではレベルが高い大学ではないのかな。確かに立派な校舎が車窓から見えるね」とのことでした。


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車窓には水田が広がります。次男に「あれはお米だよ。もうすぐ黄色く色づいて、収穫されるんだよ」「日本の耕作地は大部分が田んぼで、お米が主食だよ」。長男は「あんな広い土地を何で持っているの」、それに対する妻は「農地は固定資産税が優遇されるから、維持されやすいんだよ」、私も「お米は日本人の主食で大事だから、米作農家には公的な支援が出ているからね」と、レベルの高い地理の授業のようなやり取りになります。


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細かく停まるので駅数が多く、11駅目は上州福島。「東北の福島が既にあるから、それと区別するために群馬県の旧国名の上州を付けている。このようなパターンの駅名は全国に多いよ」「そもそも福島ってどういう意味なのでしょう」鋭い妻の切り返しに、私は答えられませんでした。

 

13駅目は上州富岡、世界遺産の富岡製紙場最寄り駅です。15駅目は上州七日市、「七日市というのは、毎月7日、17日、27日に市が立っていたという意味だよ」。16駅目は上州一ノ宮、「一ノ宮とは昔の国の中で一番格上の神社があるということだよ」「国分寺みたいなものかな」「どんな神社か、明日見てみよう」。18駅目は南蛇井、なんじゃいというおもしろい読み方の駅名なので電車好きの長男が反応します。


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最後の一駅は急に景色が険しくなってきて、山間を列車は上っていきます。「上信電鉄の社名は上州と信州を結ぶ意味、つまり長野県の佐久までこの先も山を上っていく計画だったんだよ」「なぜ、実現しなかったの」「山が険しいのと、世界恐慌が起きてお金が足りなくなったせいもあったと思うよ」 というわけで20駅目の終点下仁田に到着しました。私は勝手に上機嫌になり、1本帰りの電車を遅らせて、駅前に停まっていたタクシーでこのあたりを少し回ってもらおうかと提案しましたが、家族にはあいにく断られてしまいました。


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家族の共通の感想は、昔の国鉄の107系電車のお下がりの座席はお尻が痛くなるということ、ただし妻は、「JR八高線などに比べても、ローカル私鉄の方がゆっくり走っていてまだよい」との多少好意的な評価を聞くことができました。これは、今後、例えば銚子電鉄などの中小私鉄なら大丈夫なのだろうかという期待を持たせる発言と、私は解釈したのでした。


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だいぶ疲れてきて、次男も「もう大詰めだね」と小学2年生にしては難しい言葉を発しました。高崎まで戻る頃、次男は「人生で一番疲れた」長男も「昔、普通列車を乗り継いでいった仙台、そしてムーンライトながらの次に今回は疲れた」とぐったりしています。最後の高崎から磯部までの信越本線の車内では、私は次男に時刻表の簡単な読み方を身近な山手線から東海道新幹線などを例に教えて時間をつぶし、それなりに楽しみかつ理解してくれたようでした。

 

そしてようやく磯部にたどりつきました。おいしい食事と温泉が待っており、みんなでゆっくり充電することができたのでした。


上州阿房列車(その2:西武新型特急「ラビュー」で出発)

旅のはじまりです。今回、多大な迷惑をおかけする妻への配慮から、自宅から最寄り駅までタクシーに乗り、そこから湘南新宿ラインの普通列車グリーン車を使って、山手線などの乗り換えなしで池袋に向かいました。これで、都内の混みあった中を子連れで移動するストレスからは解放されます。

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普通列車グリーン車の利用も不慣れなものです。細かいことですが、普通列車グリーン車などいろいろな決済をスイカに集約して効率化・利便性向上を目指しているJRの方針はよくわかりますが、そこでスイカを持たない小学生の次男のグリーン券をどうやって買うのか、また久々に使った自分のスマホのモバイルスイカのアプリをどうやって操作するのか、しばし難航させられて、機械に弱い私よりも、機械の操作や手続きに強い妻の助けを借りながら、なんとか券売機で大人3人、子供1人のグリーン券を購入します。


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群馬県を目指すはずなのに、池袋で降りて西武に乗り換えるという点が、まず「阿房列車」らしいところだと思います。池袋駅で西武線の列車などを撮影しつつも、特急専用ホームのベンチで一息ついたとき、子供たちにお菓子を配って機嫌を取ること、列車入線の2~3分前のタイミングを見計らって「もうすぐ来るよ」と注意を促すなど、細かい配慮は忘れてはなりません。


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入線してきた特急「ラビュー」は、鉄道ファンならご存じのシルバーの車体で丸みを帯び、大きな窓を持つ斬新なデザインです。事前にネット予約で、一番前の車両の2列目の席を確保してあります。ラビューは運転席の後ろの窓が大きく、前がとてもよく見える贅沢な車両です。しかるに子供2人は、車窓を見ることもなく持参のスマホやタブレットのゲームに夢中なのは、旅に出た意味がないようでもあり、なんとも嘆かわしく勿体ないと思います。さらに最前列の一家の子供たちも、「早く着かないの」「もう帰りたい」などと言っているのが聞こえます。


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この車内で、子供たちを差し置いてラビューの前面展望に一番夢中になっているのが、43歳児というべき幼いオジサンである自分のようなのでした。練馬を過ぎれば石神井公園まで複々線区間となり隣の普通列車を走りながらじりじりと追い抜き、小手指の車庫には様々な電車が並んでいます。また前方には奥多摩、秩父の山並みや富士山まで見えてきます。ラビューに何度でも乗ってみたいと思ったのは、私だけの独りよがりなのでしょうか。


妻は、ラビューの広い座席は快適だと評価してくれていましたが、1040分に終点飯能に着くと、どうも少し列車酔いしたようだと言います。私の高速道路などでの下手な車の運転よりははるかに快適なはずですが、そもそも妻は列車に乗るのが好きでなく車の方が良いらしいのです。長男は私の積年の「鉄道教育」の成果があって、一応の電車好きに育っていますが、次男は父親の影響力が弱まるせいかさほど電車は好きでない、ただし車酔いもするので自動車はもっと好きでない、という家族構成です。


飯能駅では1113分まで33分間の待ち時間、駅のベンチで一息つくことができます。私と長男は、入線してきた8両編成の普通列車が4両と4両に切り離される作業をカメラに収めようとしますが、いつまでも列車は分割されません。次男は興味がないようでベンチに座っています。私と長男の後ろには他にも電車が好きそうな人たちが2~3人それとなく集まっています。そうしているうち、少し目を離した間に列車は分割されて出て行ってしまい、作業をカメラに収めることはできませんでした。


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妻に事の顛末を話したところ、「駅員さんにあと何分で切り離されるか聞けば良かったのに」と言います。しかし私と長男は、趣味的な目的のために駅員さんの手を煩わせることは申し訳なくも恥ずかしいという点で、ほぼ認識が一致していました。人柄の違いが表れた、ということなのでしょうか。


東飯能まで1駅、1115分着。JR八高線に乗り換えて1120分発、また1駅乗って1125分に高麗川着という細かい乗り継ぎが続きます。先ほど列車酔いを訴えた妻に続いて、次男も「疲れた」と言い始めました。


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高麗川発1132分の列車はディーゼルカーで、疲れた次男を後目に、私の旅の興奮は高まります。残り3人は座席に座ってもらい、私はまた最前部にかぶりついて鉄道旅を続けました。一人でマイペースに、流れ去るレールと時刻表を眺めて楽しんでいたものの、これでこの鉄道旅を家族と続けられるかという不安は感じていました。


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次の高崎では、当初は駅の立ち食い蕎麦で昼食を済ませる計画でしたが、私は子供の好きなモスバーガーに場所を変えることを思いつき、そう妻子に提案しました。そのうち次男は寝てしまい、疲れも一応は落ち着いたようでした。


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八高線の非電化区間は高麗川から高崎まで所要1時間28分。さすがに私も、子供たちに、「あと何駅、何分で高崎に着くよ」と小まめに知らせるようになりました。

高崎には13時到着。モスバーガーやラーメンの入ったフードコートまで行って昼食をとり、家族もエネルギーを回復しました。


上州阿房列車(その1:群馬県まで片道7時間かけて)
家族との旅行で、父親のワガママを押し通したいと思いました。ワガママというのは、私の鉄道ファンとしての想いを貫くということです。家族旅行といえば、妻や子の希望を優先させてリゾート地やディズニーランドに出かけるなどして「家族サービス」に努力するのが世の父親の理想なのかもしれませんが、私としてはそれでは折り合いがつかないのです。

そもそも鉄道ファンというものは、世の中からは馬鹿馬鹿しく、時に迷惑な存在として思われているものです。もちろん一部の鉄道ファン(マニア)の、例えば写真撮影に夢中になって列車の運行を妨害するなど、世の中に迷惑をかける行動には大いに問題があり、気を付けなければならないと思います。しかし本来、鉄道ファンというものは、社会に害を及ぼさない範囲においては、自分たちの趣味についてオタクだなどと卑下することもなく、堂々としていれば良いのだと思います。

鉄道ファンの大先輩で、がんこおやじそのものの、今の男性にはほとんどないような気骨をお持ちである内田百閒先生は、「第一阿房列車」の有名な書き出しで、

「阿房と云うのは、人の思わくに調子を合わせてそう云うだけの話で、自分で勿論阿房だなどと考えてはいない。」
「用事がなければどこへも行ってはいけないと云うわけはない。なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う。」
という力強いお言葉を残されています。

このような鉄道ファンの気持ちのもと、妻子を巻き込んで、現代版「阿房列車」を走らせたいと思い立ちました。

 

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 行先は、東京都内の自宅を出て、群馬県の磯部温泉に決めました。私は碓氷峠(旧信越本線の横川~軽井沢間)の鉄道遺産が好きで、その保全の支援をしたくて安中市にふるさと納税を収めたところ、返礼品として宿泊券をいただいたからという、これまた鉄道ファンらしい理由です。

ではそこまでどうやって行くのでしょうか。一般的には東京から新幹線に乗って高崎で乗り換えて磯部まで。例えば東京発10時16分の「とき315号」でしたら、高崎で乗り換えて所要時間1時間26分、11時42分にはもう磯部に着いてしまいます。優雅にお昼ごはんを食べてから、温泉を楽しむことができるでしょう。もっとも「普通の人」は、車に乗るのでしょうね。10時に東京を出ると、関越自動車道の週末朝下りの渋滞に巻き込まれるでしょうが、まあ3時間、渋滞がひどくても4時間あれば着くでしょうか。

ところが私が今回取ったルートは、池袋10時発の西武の新型ラビュー車両による特急「むさし65号」に乗って飯能を目指し、途中7回もの乗り換えを経て、7時間余りを経て17時02分にようやく磯部駅に到着するという、丸1日がかりでただ列車に乗り続けるというものなのです。

 

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FUSHITETSUDO

Author:FUSHITETSUDO
旅や鉄道が好きな父が、家族といろいろなところに出かけています。よろしくお願いします。



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